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2009.03.15

工芸のいま 伝統と創造-九州・沖縄の作家たち-@九州国立博物館

S_14title01

 

http://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_s14.html

今年1月から始まったこの展示。チラシでは、国宝の方々の作品があるだけで、それならば直接窯元へ行ったり、各展示会へ行ったほうが見ごたえがあるのではと勝手な解釈をしておりました。

先日、西日本新聞で、この展示には、中島宏さんの働きかけに寄るところが多いということを知り、それならば是非いってみたいと思うようになったものの、多忙な毎日でいけず、やっと見に行くことが出来ました。

実はすでに展示は終わったと思っていたのですが、15日までというのを知り、急遽ということだったのですが・・・
16日まで延長になったそうです!いっていない方は是非どうぞ!JRで前売りチケット購入できます

さて本題。
今回の展示の主役は、人間国宝の作品や、有名な作家さん達の作品ではなく、
有名無名問わず、九州で工芸に携わっている方々と、その作品群が主役です。

まず、陶磁器類のその作品の数と大きさ、多様性、力作の数々に圧倒されます。
これだけの大作たちがずらりとまとめて見る機会はなかなかないでしょう。
(それを先に教えてくれりゃ早めにいったのに・・・)
基準は、審査なし。2000年以降で一番の作品を出す事。だったそうです。
近年の仕事振りを見せてくださいといわれているようなものですから、力が入るでしょうね。他者との比較ではなく自分がどこまで納得行くかですからね。

本当に見ごたえある作品ばかりで。時間が足りなかったのが残念。
3月16日が最終ですからまだの方は是非どうぞ(くどいですね)

以下メモです。私見による勝手な感想ですから的外れなことも多いかと思いますが多めに見てやってください。随時増やしていきます。

003 井上萬二 白磁緑釉牡丹彫文花器
轆轤でこんな形をどうやって作るのかはわかりませんが、きっとすごいことなのでしょう。
緑釉と、彫文がどちらもやわらかさがある。
中村清六さんもそうだが、年をとると人間味というか柔らかさを求めるようになるのかもしれない。

004 井上康徳 白磁黄緑釉刻文三角形鉢
三角形という形と、黄色、緑の配色からリズムが感じられる。
こちらも、轆轤と削りによるそうだが、轆轤を引いたことがない私にとってはどうやって轆轤で三角形を作るのかは理解不能。
轆轤という作業がいかなるものか知る必要があるのかもしれない。

005 今泉今右衛門 色絵薄墨墨はじき雪文鉢
一見地味だが圧倒的な量の墨はじき。緻密な作業は見るものの背筋を伸ばさせる。筆の勢いを排除しているので、静寂が感じられる。

007 犬童 又郎 天目線文壷
初めて拝見する作家さんだが、強烈なインパクト
ガラス質の釉薬の中に様々な色が施されている。
秘密は、天目に焼いた上に釉薬を掛け分けるという作業と、マスキングと、釉薬の収縮によるヒビ(隙間?)から見える天目の色により、奥深い表情を表現している。
すごい人がいるものだと思った。

古沙手窯(こさでがま)
工芸作家:犬童又郎(日本工芸会正会員・人吉工芸会会員)
所在地:〒868-0081 人吉市上田代町2271-1
0966-23-0217 

010 太田富隆 掛分花器「青海」
コバルトブルーの色が一際鮮やか。
小石原の土を使っているそうだが、この斬新な作品からは伝統という言葉を思い浮かべることは難しいが、よりよい物を作りたいという意思のつながりを伝統というのであれば、斬新な材料や造形を取り入れているこの作品はまさに伝統なのだろうとも思える。

011 太田秀隆 黍灰釉彩泥鉢
こちらの作品も小石原の土を使っているようだ。
一般的な小石原のイメージからはずいぶんとかけ離れているが、色合いがなんとも言えず美しい。
素地を磨きこみ、青の彩泥、と刷毛塗りで白化粧し、黍灰をかけるとの事。
知らないことの方が多い。知れば知るほど楽しくなる陶磁器の世界を実感する。

012 大村しょう山 灰釉裂文壷
裂文という表情が、存在感を放っている。
こういう作品にはあまり触れたことがないが、とても印象に残る。
小市民な私は、部屋に飾るとホコリかぶったら大変だろうなぁと思ってしまうが、経年の変化も楽しめるのかもしれない。

013 小笠原嶐 鍋島青磁羊歯文八角大皿
端正なつくりの青磁群の中にあって一際重厚感のある青磁の大皿。
釉薬に鍋島でも使われている大川内山の青磁の石を分厚くかけて、何度も焼くために必要な厚みだと窯で伺ったことを思い出しました。
釉薬の厚みによる、柔らかい美しい緑が大変印象的。

015 奥川俊右衛門 白磁花器
純白の白磁。白磁ではほとんど目にしたことがないような形。きっと造形は難しいのだろう。これもきっと高い轆轤の技があって実現するものだろうと思うが、私自身が轆轤の工程をよく知らないので想像の範囲でしか考えられないのがもどかしい。もっと知ることで、こういった作品のすごさをもっと実感できるのかもしれないと思う。

016 小野次郎 釉離金銀彩鉢
金、プラチナの箔を貼った上に釉薬をかける技法。経年劣化にも強く金彩にとっては理想的ともいえる技法だが、こちらの技法も古いものではなく昭和に入ってからのもの。伝統工芸というものが、技術の継承が主な目的ではないという事が伺える。

017 小野隆治 釉象嵌波紋鉢
磨りガラスを連想。初めて見る質感に驚く。白磁につや消しの釉薬。線彫りしつやのある釉薬を埋め込むという技法だそうだ。
造形も不思議な形。高台を三つ足状に切り取ることで、焼成時に形の変化が出るとの事。単に奇抜というものではなく、計算に基づくものであるということも驚き。

018 小畑裕司 枝垂桜文四方皿
商売人として見るならば、これは売れそうだという印象。
女性の中にこの手の作品を強く支持する層はきっとあると思うし、桜の花が一面に描かれているわかりやすさも大きな特徴だと思う。こういうお皿はありそうでそういえばあまり見ない気がする。
自己満足ではなく、売れるかどうかの観点もきっと作り手にはあるのだと思う。それはいけないことではなく、売れる作品を作るという意識は大事なことだと思う。

022 金子認 幾何学文竹林壷
こういった品を普段目にしないので、妙に印象深かったりする。
紐状の粘土を積み上げ、叩いて締める「叩き」の技法を使っているとの事
絵柄もそうだが、成形も轆轤とは違う素朴感が漂っているのかもしれない。
叩きの格子文を生かすためのデザインとして、竹林が選ばれたようだ。
何事もよく考えられているものだと思った。

025 河口純一 釉裏彩華文花器
一見練り上げの作品のように見えたが、釉裏彩という技法との事。
様々な顔料で色をつけた後に釉薬をかける技法と聞いても何がすごいのかはピンと来ないが、
実際行っている人は少なく、商売ではやっていけない程の難易度の高い技法のようだ。
実際、宮川香山、板谷波山等が取り組んだ技法だが、現代でも定着していないということからもその難しさが伺える。
何気ない物に見えても奥が深い。技法などを知ることで、この作品の凄さがもっとよくわかるのだろうと思った。

027 川崎精一 青白磁彫菖蒲紋鉢
一見鮮やかに描かれているように見えるが、すべて釉薬の濃淡で表現。
全体に白磁釉をかけ、その後花の部分にマスキングを施し青磁釉をスプレーでかけるとの事。
青白磁は、彫りと釉薬の濃淡、造形という表現に制約がある中で、大変絵画的な要素の高い作品だ。
どの工程もそうかもしれないが、彫りはやり直しが効かないのでかなり緊張感の必要とされる作業なのだろうと思った。

028 川添貞秀 青白磁彫六角鉢
こちらも轆轤成形との事。今回の作業では轆轤と彫りの重要性が認識できたことも収穫だと思う。
轆轤で成形しているなどとはまったく思わなかったので、もう一度ゆっくり見てみたい。

029 木下栄司 炭化櫛目鉢
最終工程で煙で燻して炭化焼成するという技法が、木下さんの代表的な作風との事。
櫛目や、炭化という技術を使い、素朴で枯れて、でも力があるというような独特の質感を目指しているだろうかと思う。

030 久保田保義 青白磁流線文扁壺
彫による造形と釉薬の濃淡の美しさに目がいくが、
この形を轆轤で真円でない楕円の形を造形している点も見逃せない。
作品全体にあいまいさがなく緊張感が漂っている。
もう一度この方の作品をゆっくり見てみたいものだと思う。
人吉在住の作家さんらしいが、犬童又郎さんや、久保田保義さんがいらっしゃる、人吉という地域にとても興味がわいてきた。近いうちに伺ってみたい。
今回の展示は佐賀以外の地域の方々にも目を向けるきっかけになったいい機会だったと思う。

鳥ヶ丘窯 
住所 〒868-0075
熊本県人吉市矢黒町2354 
FAX 0966-22-6986

035 熊本義泰 青磁麦文鉢
緑色の強い青磁。耀州窯青磁の色を目指したそうだ。中国の焼き物が世界的には王道なので、この分野の勉強も進めていかないとと思う。
過去の技術の再現だけではなく、貼り付け文様という技法も用いているそうだ。

036 倉島岱山 牙白 耳付連弁花入
クリームがかった透明感の白色。宋代の定窯の白瓷を目指したそうだ。

リンク: 東京国立博物館 館蔵品詳細. 白磁蓮花文皿(はくじれんかもんさら)

リンク: 東京国立博物館 館蔵品詳細. 白磁金彩雲鶴唐草文碗(はくじきんさいうんかくからくさもんわん)

宋代の定窯の作品をイメージできるか出来ないかでこの作品の理解度もずいぶん変わると思うので、
焼き物を見るうえで知ることの重要性を感じる。

037 斉藤勉作 染付木の葉深鉢
木の葉文という、本物の木の葉を使った文様がとても美しい。
自然が作り出す造形の完成度の高さを感じる。
奇をてらって木の葉を使っているのではなく、様々な試行錯誤の後に木の葉に行き着いたことがよくわかる。
現在は、大分県の竹田市にいらっしゃるそうです、自然に囲まれながら作陶されている光景が目に浮かびます。
http://blog.goo.ne.jp/bensaku_2008

038 酒井田柿右衛門 濁手桜門花瓶

14代柿右衛門の大きな花瓶。14代は、絵付けが有名だが、やはり柿右衛門の柿右衛門たるゆえんは、素地の濁手と、その色彩の美しさだと思う。

040 佐々木厚 象嵌花器
円形の作品が多い中で、印象的な形。

043 庄村建 紅染大鉢「燦々」
この赤は、辰砂ではなく、新しい顔料とのこと。器面にある凹凸は、箆彫ではなく、やわらかな彫など、新しい試みが見られる。
藍染は、冷たい、冴えた印象だが、この紅染は、題のように、温かさを感じる。

044 庄村久喜
大変緊張感の漂う造形。磁器で通常行われる削りという工程を排除している。そして施ゆうする工程も省いている。この発想にはかなり驚いた。削りと施ゆうを放棄する事で、手仕事の痕跡と磁石そのものが持つマットな質感を獲得している。1974年生まれの同世代の方のようだが大変すばらしい作品だと思う。これから注目しようと思います。

 
050 田中光謙 青瓷壷
大変美しい青じ。電機メーカーの退社後開窯という異色の経歴?新聞で拝見したことがあるような気もする。作品もそうだが、この方の経歴も気になる。

052 津金日人夢 青瓷壷
大変美しい青瓷。青瓷の釉薬が厚いので、生地を薄くすることにこだわりを持っているようだ。この方も1973年の同世代。御船窯という窯で作陶しているそうだ。今後注目したい。

055 中尾龍純 染付色小文花生
色小文という色彩表現が印象的。緻密という表現が思い浮かぶ。

056 中尾英純 和紙染三つ葉紋鉢
和紙染めによる幾何学的な文様。3000枚を越える和紙を使って表現するようだ。

057 中尾恭純 四方襷文彩色象がん面取壷
四方襷を生かすために壷に面取を施している。
彩色象がんという技法を使っているそうだ。

058 中里太郎右衛門 唐津しきんじょう文地鼠黒掻落し壷

絵付けではなく、彫りでの表現。線が力強い。磁州窯の技法を参考にしているとのこと。磁州窯をしっているか、知らないかでは見方が違ってくると思う。やはり、知ることは焼き物を楽しむ上で重要な要素なのだろうと思う。

059 中島宏 青瓷彫文壷

中国の青銅器に触発されたその青じの色と、造形は大変力強さを持っている。

060 長野恵之輔 線彫呉須象がん麦
単なる絵付けではなく、線彫という技法。かつてみた向日葵という作品が印象的だった。確か波佐見の方だったような気がする。

061 中村青吾 白磁鉢
中村青六さんのお孫さん。お孫さんといっても、1975年生まれなので同世代。若干マットな質感は、全く同じではないにしても、おじいさんの作品とも共通する部分だと思う。今後注目していきたい。

062 中村青六 白磁艶消鉢
92歳で現役。大変すばらしいことだと思う。高齢に関わらずこんなに大きな、かつ完成度の高い作品を作られることに驚きます。

065 納所正一 白磁しのぎ彫文花入
井上萬二に轆轤を習い、琥山窯で、小野珀子、小野祥瓷に師事。小野一門の存在が私の中で大きくなっていく。

066 野中拓 天目松紋花器
この方も、井上萬二に轆轤を習い、琥山窯で、小野珀子、小野祥瓷に師事との事。
黒と、燻し銀という釉薬を塗り分けている。

070 松尾勝也 艶ゆう彩深鉢「想」
生地に同じ土の化粧土を吹きかけ、凹凸のある器肌を作り、マスキングと吹き付けで呉須の濃淡を生かした文様を描いているとのこと。

071 松尾潤 塩窯彩花器
焼成時に塩を入れることでこのような模様がでるという事が驚き。

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コメント

色々と面白いコメント拝見しました。
美術とは世の中に妥協しすぎたら、魅力が無くなりますし、自己満足では生活できません。
結局、とめどころがたいせつですね。

生活しようと思ったら、思想は日本の伝統をふまえながら、デザインは流行の一歩先くらいがいいですね。

うゎ。めっちゃ恥ずかしいです。
ぼんやり思っている事を文章にすることでぼんやりを明確できるようになりたいという自分の練習用の記事です。
量稽古ってヤツですかね。

>思想は日本の伝統をふまえながら、デザインは流行の一歩先くらいがいいですね。

最近、作り手の精神性について考えるようになりました。今度ゆっくり話を聞かせてください。

恥ずかしい?何でですか?
面白かったですよ。(特に十八の記事)
意見は卒直に書かないと、人の心は震わせませんよ(笑)
こっちも(作り手)も勉強しなくてはと感じました。
頑張ります。

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