どのような人がつかっていたのか その4 私は質屋です
どのような人がつかっていたのか。ということに関して、考えていますが、そこにつきまとう違和感が拭えません。
考え方、何かが、根本的に違う・・・
つまり、以前のユーザーが気になるということは、
Aという宝石があったとして・・・
前のユーザーによって価値が変わってくるのか?という話になってくる。
気持ちはわからないではない。
好きな芸能人が身につけていた物であれば、そこに価値を見出す人がいるかもしれない。
でも、それは、宝石の価値ではなく、別の部分に価値を見いだしているという点。
そこに、違和感を感じます。
同じクオリティーでも、名家からでた品は価値があり、そうではない方からのものは価値が下がる。・・・そんなことはあってはいけないんだと思う。
つまり、僕のベースといいますか、私は、質屋であるということ。
売ることがメインの仕事ではなく、査定することが本業なんです。
査定の業務を行っていて、感じているといいますか、身にしみているといいますか・・・、思うことは・・・
宝石には様々な嘘がまとわりついていることが多いんです。鑑別書が嘘付いていたり、石が嘘付いていたり(実際は、石が嘘を付いているのではなく、人間が無理やり色変えたり、合成石をはめたり・・・)、地金素材が嘘付いていたり、ネットで言うと、画像が嘘付いていたり・・・
「モノ」そのものではなく、周囲の情報に流されちゃうと痛い目に会います。ホントに・・・
もし、以前のユーザーによって、品物の価値が変わるのであれば、これは名家のから出たものです、とか、これは芸能人〇〇さんが身につけていたものです、とか、しまいには、宮家からのとか、王族からの・・・ みたいなものが増えてくるでしょう。
そうなると、モノを見ずに、周りの情報ばかりに翻弄されてしまいます。
やっぱり、私にとっての基本は「モノ」。「目の前にある品物」としっかり対峙することなんだと思います。
スケールがものすごく変わってしまいますが、スミソニアン博物館にホープダイヤモンドというダイヤモンドがあります。
このブログで、「どういう人がつかっていたのか」 という事を考えていて、思い出したのですが、
本来は、ナチュラルの大きなブルーダイヤモンドであることを賞賛されないといけないのが、
変な逸話ばかり注目されています。石がかわいそうですよね。
出典はどこか忘れてしまいましたが、最初にあの石に逸話を付けて販売したのが何代目かのカルティエ。(間違っていたらご指摘ください。)
そして、時が経ち、ハリー・ウィンストンがリカットして、スミソニアン博物館に寄贈。
ハリー・ウィンストンは、石の怨念とか周囲の情報に左右されず、石そのものを見ぬいていたからこそ、リカットできたのだと僕は睨んでいます。
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